ひめじ芸術文化創造会議
2019年11月19日に姫路キャスパホールにて開催された姫路市主催のフォーラムに、当会議代表の月ヶ瀬がパネリスト出演いたしました。
「姫路市文化コンベンションセンターフォーラム」出演についての報告
2019年11月19日に姫路キャスパホールにて開催された「姫路市文化コンベンションセンターフォーラム」は、約2年後に控えた新施設・姫路市文化コンベンションセンターの開館に向けて、市民意識を高めることを目的に開催されました。
冒頭の新施設に関する市よりの概要・進捗報告につづいて、日本有数の劇場コンサルタントである株式会社シアターワークショップ 代表取締役の伊東正示(いとう・まさじ)氏の基調講演がありました。
伊東氏の講演は、ご自身の簡単な経歴紹介のあと、我が国の劇場施設を取り巻く文化政策の移り変わりについてのレクチュアと、最近の(ご自身が携わってこられたものを含む)劇場施設が単なる演劇・音楽の舞台としてではない多様な役割・あり方の紹介を中心としたものでした。
当会議の中で学んできた事とも合致した内容で、また大変わかりやすく、参加した当会メンバー一同が興味深く聞き入っていました。
休憩を挟み、フォーラム後半は同じく伊東氏の進行で4名のパネリストによる提言が行われました。姫路市より副市長/姫路市都市拠点整備本部本部長である黒川優(くろかわ・まさる)氏、新施設の指定管理者(の中心的役割を担う)株式会社コンベンションリンケージより代表取締役の平位博昭(ひらい・ひろあき)氏、新施設へのイベント誘致・プロモーションの一翼を担う株式会社グリーンズコーポレーションより代表取締役の鏡孝彦(かがみ・たかひこ)氏、そして市民の代表としての指名を受けて当会代表の月ヶ瀬悠次郎。
パネルセッションは主に以下のような内容でした。
月ヶ瀬からは、「市の芸術文化の発信および醸成拠点としての役割への期待」などについて
平位氏からは、「コンベンション施設が市にもたらす豊かさ」などについて
鏡氏からは、「新劇場に対するメジャーアーティストたちにとっての関心の高さ」などについて
そして黒川氏より、それらの提言に対して市としての意欲が表明されました。
また、会場には200名以上の聴衆が来場しており、拙いながら以下のようなことを来場した市民と共有しました。
ひめじ芸術文化創造会議(月ヶ瀬)よりの提言(骨子)
施設の活用方法・魅力について
文化施設としての側面だけを見ても、大・中・小のホールや演劇練習場の役割が新施設に集中することになります。市民は観客としてはもちろん、プロ・アマの演者として、練習場を使う愛好家として……実に様々な立場でこの施設に関わることになります。
市民にとって親しみのある、生活の一部と言えるような施設であって欲しいと感じています。
施設がもたらす効果について
(鏡氏の「若い世代の持ち込む新しいアートを街の人に受け入れてもらいたい」という発言を受けて)当会の研究でも「Tolerance(受容性)」の高さは芸術文化を軸とした都市の活性に重要であると考えられています。私たちはつい今までなかったもの・目新しいものに戸惑うものですが、市民の側でも(新施設も含めて)受け入れる懐深さを持っていたいと思います。
当会では、舞台関係者同士のコミュニケーションを円滑にするためのワークショップなどを開催したことがあります。(舞台関係者の枠に留まらず)街の人々との間にも芸術に関するコミュニケーションや相互理解が深まることで、より芸術文化が街の輪の中に溶け込めるのではないかと考えています。
新施設への期待・意気込みについて
(伊東氏の基調講演を受けて)戦後70年間で文化政策や劇場のあり方は変わったのかもしれません。しかし、ホメロス(紀元前8世紀にギリシャで活躍した詩人)の時代から現代に至るまで、ただ一つ変わらないものがあります。それは、「芸術や文化というものは、私たちの人生を豊かにするために……私たちを幸せにするために、成されるものである」ということです。市民の方々はそれぞれに不満や希望をお持ちだと思いますが、不満を抱くあまりに「この施設によって、私は幸せになってやるものか」と考えてしまうことは辞めにしましょう。むしろ、この施設によって幸せになる方法を考えようではありませんか。
当会は元々はどちらかといえば反対団体として立ち上がった側面がありますが、単に反対することそれ自体を目的とした団体ではありません。この施設が「より良い施設になるため」の改善点を、これからも提案してまいりますので、皆さまどうぞよろしくお願いいたします。