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第18回国際神道シンポジウム『アニメのカミ:若者文化と神道』の聴講

公開日時 : 2018年11月09日

本稿は、2018年10月27日[土] キャンパスプラザ京都(京都市下京区)にて開催されたシンポジウムへの聴講を目的とした視察旅行についての月ヶ瀬代表よりの報告です。

催行の経緯


第18回国際神道シンポジウム『アニメのカミ:若者文化と神道』告知フライヤー
第18回国際神道シンポジウム『アニメのカミ:若者文化と神道』告知フライヤー

去る2018年10月27日、第18回国際神道シンポジウム『アニメのカミ:若者文化と神道』(主催:特定非営利活動法人 神道国際学会/後援:京都府、京都市、京都府教育委員会、京都市教育委員会)が京都駅前のキャンパスプラザ京都にて開催され、本会議から月ヶ瀬・高巣・伊勢田らが聴講しました。

芸術文化と宗教とは、歴史的に見ても、互いに切り離して考えることの難しいもの同士です。特に宗教については、フェアな立場から考えることにはいくつかの困難があり、わたしたちがともすれば明言を避けがちなテーマの一つではないでしょうか。しかし、私たちが舞台を中心とした芸術文化についての考察を進める上で、やがて必ず考慮しなければならないテーマであると、私は考えています。

この度は、本シンポジウムのモデレータである三宅善信氏(NPO法人神道国際学会代表理事・理事長)にお声がけをいただき、これを学びの機会とすべく委員・会員一同に参加者を募り視察旅行を催行しました。また、そう遠くない将来、例えば「舞台芸術と宗教」というようなテーマで勉強会・講演会を私たちの手で開催することも、心ひそかに計画しています。

なお、本シンポジウムの主催団体である特定非営利活動法人 神道国際学会の活動が特定の宗教・宗派への信仰・勧誘を企図するものではないこと※1、また私たちひめじ芸術文化創造会議がその点を理解・賛同した上で視察旅行を行ったことを念のため明記しておきます。

※1 自治体や教育委員会の後援を得ていることからも、明らかですが…念のため。



所感

3名の先生方による講演は、それぞれにとても興味深いものでした。「アニメ」「カミ」「若者文化」というものキーワードの漠然性がゆえに全体としての整合性が取れなかったのではないか、とパネリスト・鈴木岩弓氏(日本民俗学会会長)が指摘する問題は確かにあったかもしれません。しかし、それを差し引いても、十分に聴き応えのある「アニメのカミ」であったと思います。

私自身はデザインなどのクリエイティブな仕事を生業としていますから、自他の作品に神性を見出す感覚には親しみがあります。「神の姿を作るのではない。石に宿る神を彫り出すのだ」とはミケランジェロの言葉であったでしょうか…。ジョリオン・トーマス氏(米国ペンシルベニア大学宗教学部助教授)の指摘する「人の創意工夫によって生み出されたアニメそれ自体に(付喪神的な)神を感じる」感覚は、(日本・神道の枠を超えて)遍く人類が共有できる他者への畏敬の現れではないでしょうか。トーマス氏の「アニメ」からアニミズムとアニメーションを切り分けようとする試みには、おそらくこの純粋な感覚…日本らしさや神道イズムを当てはめない剥き出しの畏敬を取り出そうとした試みであろうと解釈しました。


パネルディスカッション風景(1)
パネルディスカッション風景(1)

アニメや漫画を含めたポップカルチャーが外国人や若者に日本の伝統文化を紹介するキッカケとなっている、というアレキサンダー・ベネット氏(関西大学国際部教授)の指摘は首肯しやすいものでしたし(「ただしそれは必ずしも宗教研究者や先達が望む形とは限らない」というトーマス氏の指摘も重要です)、漫画家・手塚治虫の功績とそれを培った関西の文化的土壌を紹介しながら「とはいえ日本のアニメーションは(手塚らがゼロから生み出したものではなく)伝統と文化の延長上にある」という奥野卓司(関西学院大学 先端社会研究所長、公益財団法人 山階鳥類研究所所長)氏の指摘も非常にわかりやすいものでした。


パネルディスカッション風景(2)
パネルディスカッション風景(2)

全体的に各論の寄せ集めとなってしまったきらいはありますが、鈴木氏らの指摘する通り「神とカミ」「アニメ(アニメーション)とアニミズム」などの概念的な擦り寄せが困難であり、この種のテーマの議論が非常にセンシティブで厳密さを求められることが再認識できたというだけでも、間違いなく有意義なシンポジウムであったろうと思います。

ぜひ、次回以降に3名の先生方のより進んだ講義を伺う機会があることを望みます。

この視察旅行は、兵庫県青少年本部の「ふるさとづくり青年隊」事業の一環として行われました。

また、本稿掲載の写真は特定非営利活動法人 神道国際学会よりご提供いただきました。

文責
月ヶ瀬 悠次郎
資料
議事録