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熊本市役所でのディスカッション

公開日時 : 2018年07月25日

本稿は、2018年6月21日[木] 熊本市役所にて行われたディスカッションを分かりやすくまとめたものです。姫路市(新施設計画)との比較研究のための取材旅行において熊本市役所を訪れ、熊本城ホールを含めた中心市街地の再開発計画について取材を行いました。本稿の記録は「ふるさとづくり青年隊」隊員でもある橋本英司が行い、当会議にて編集を行いました。

ディスカッション(要約)

都市計画における新施設の位置づけ

立地について

熊本城を目当てに訪れる観光客にとっては、新施設は城とも近く利便性は高そうですが…

施設にはバスターミナルが併設され、周囲にはホテルや飲食店もあります。アクセスや立地は非常に良いと考えています。

アクセスが良すぎると観光客が滞在しにくくなる…という懸念についてはいかがですか?

熊本城ホールは、地元の方々のための交流施設ですが、観光客が滞在しにくいという懸念はありません。

観光客に関する懸念としては、九州新幹線開通に伴うストロー現象(単なる通過点になってしまい、人が滞留しない)が懸念されていましたが、実際にはそれほどではありませんでした。

上通り・下通りなど熊本城の東〜南東側にある市街の人々からは「桜町地区で賑わいが完結してしまうと、既存の市街への人の流れが滞るのではないか」という懸念の声はありませんでしたか?

確かにそういう声はありましたが、私たちは逆の考えを持っています。この再開発によって、熊本城から出てきた人々の足が自然に市街の方に流れるような仕組みを考えているのです。

新施設を含めた再開発エリアは熊本城と市街の結節点でもあります。この新施設と市街地の間にある空間を歩行者専用の広場として、市民に開放し、様々なイベントによる賑わいの創出や日常的にくつろげることを期待しています。

南側に位置する地銀の1階部分にギャラリーが作られたり、広場北側に面するNHK熊本放送局にも8Kディスプレイが設置されるなど、開放的で楽しそうな空間作りが行われています。



複合施設であることの強みと弱み

熊本城ホールを複合施設として建設する理由・狙いは?

もともとコンベンション施設や大型劇場施設を求める声がありました。特に、コンベンション施設の必要性については、平成22年に当時の県知事・市長・熊本大学学長からなる「くまもと都市戦略会議」でも議論があり、規模や立地場所などの検討がはじまり、現在の立地に決定しました。

他に適した土地もないため、桜町に複合施設として建設するほうが空間・費用の面からも効率が良かったのです。

このあたりの事情は、姫路市も同様のようです。

熊本市は姫路市とは異なり、県庁所在地としての側面もありますね。新施設について、県・市での役割分担などはあるのでしょうか?

複合施設の建設は、再開発事業により民間が整備され、区分所有でホールを市が持つことから「熊本城ホール」の事業主体は熊本市です。熊本県は「熊本産業展示場(グランメッセ熊本)」という郊外型の大規模展示会やコンサートに対応できる別の施設を持っています。

複合施設の管理運営には、(通常のシンプルな施設の場合と比べて)かなり多岐に渡る専門知識・技術が必要となること思います。指定管理者の選定や、そもそも指定管理者制度を用いて運営する(させる)ことを決定した経緯についてお聞かせください。

前述のとおり、全体は民間、区分所有を市という考えからコンセッション方式(特別目的会社を設立し、所有権を市に残したまま民間事業で運営を行う方法)も検討しましたが、市が直接管理する方法も含めて比較検討し、他の多くの事例に倣って、結果的には指定管理者制度を導入しました。

指定管理者には次世代育成事業に力を入れてもらいます。熊本城ホールのオープンにより、市民は質の高い文化芸術に触れる機会が増えることになるが、具体的には、ワークショップで直接アーティストと触れ合う体験をすることなども提案されているところです。

通常は18ヶ月前に会場予約を受け付けますが、(国際会議など)大規模なイベントについては数年前から会場を予約することができます。これも他市の施設と同様です。

市内外の他のホールとの棲み分け(使い分け)についてはどのようにお考えでしょうか?

市内外にはいくつかのホールがあります。例えば熊本県立劇場コンサートホールは約1800席のクラシック音楽向けホールです。一方、熊本城ホールはロックのような(生音ではなく)電気的に音を増やす音楽に適したホールになる予定です。

ですから、キャパシティ差の他にも、演目や音楽ジャンルによって自然に使い分けられると考えています。

姫路市の場合は「(仮称)姫路市文化コンベンションセンター」と比肩する規模のホールが付近にありません。どちらかと言えば生音クラシックコンサートに最適化するようですが、(熊本市ほどには)特化したホールにすることはできません。このことは、過去の座談会・出前講座でも議論が行われたとおりです。



市民参加について

新施設・周辺を使ったイベント開催について、市民から具体的な提案はあがっていますか?

現時点では、まだありません。どのように活用できるのか、市民の方々に知っていただく必要がまだまだあると考えています。

例えば(仮称)花畑広場では、メディアや地元企業・熊本市がデモンストレーション的なイベントを行っているところです。会場使用料を安く設定することで、市民が「こんなイベントをしたい」と提案してくれることを期待しています。

他に、お酒に関するイベントなどを行って近隣の飲み屋から「商売の邪魔になるのでは?」という懸念の声があがった…という話なども伺いました。この種のイベントは飲み屋街に足を向けさせるキッカケづくりとしての効果を期待しているとのことです。

地方銀行が積極的に都市計画に参画するような仕組みはありますか?

地銀や商工会議所の人はプロジェクトに参加していますが、特別な枠を設けて参加してもらったわけではありません。熊本県と地銀の肥後銀行が連携してDMOを作っています。

姫路市のように地銀が積極的に都市計画に参画するのは珍しいのかもしれません。

熊本市内でエリアごとの地域性(人柄や好み)などはありますか?姫路では、例えば「浜手(海に近いエリア)の人は気性が荒い」というような話がよく上がりますが…

そういうこと(地域性)は、あるかも知れませんね。新施設についての説明会を市内各地で行った際には、ご理解をいただくために丁寧な説明を行うように心がけました。

この取材は「ふるさとづくり青年隊」事業の一環として行われ、経費の一部に助成金を使用しています。

出席者(敬称略)
大石 雄一 (熊本市 経済観光局 新ホールマネジメント課 - 運営班主幹兼主査)
三池 史子 (熊本市 経済観光局 新ホールマネジメント課 - 整備班技術主幹兼主査)
竹田 靖宏 (熊本市 経済観光局 新ホールマネジメント課 誘致戦略室 - 主幹兼主査)
永野 康裕 (熊本市 都市建設局 都市政策部 都心活性推進課 - まちづくり班技術主幹兼主査)

月ヶ瀬 悠次郎(ひめじ芸術文化創造会議 - 代表)
立花 晃(ひめじ芸術文化創造会議 - 副代表)
橋本 英司(ひめじ芸術文化創造会議、ふるさとづくり青年隊)
文責
月ヶ瀬 悠次郎