ひめじ芸術文化創造会議 のWEBサイト

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ひめじ芸術文化創造会議

公開日時 : 2018年05月29日

2018年05月16日[水] 19:00より姫路城下町ギルドにて開催されました。前半は行政の担当者を招き「市政出前講座」として新施設の設計や運用計画の最新情報について教えていただき、後半は市民レベルでの活用について話し合いを行いました。

学生・青年隊との会談

この日の座談会(市政出前講座/意見交換会)には、兵庫県立大学の井関研究室で都市と文化の関わりや観光プロモーションなどについて研究している学生らも参加しました。

座談会に先立って会談し、お互いの現状や活動趣旨について理解を深めることができました。また、今後の相互協力についても調整していくことが決まりました。



市政出前講座「姫路駅周辺の整備について」

施設概要と運用

都市拠点整備本部 文化コンベンション施設整備室より、室長・大前さんと西本さんにお越しいただきました。

大前さんからは施設の規模や設備などについての概説を、西本さんからは運用・使用ルールについて現時点で決まっていることについて、わかりやすく解説いただきました。

詳細な解説内容については、市役所WEBサイトに公開されている資料などをご参照ください。



質疑・ディスカッション

講師と参加者の間で行われた質疑は、以下のようなものでした。赤字で会議委員による雑感を掲載しています。



設備や規模、周辺地域との兼ね合いに関する話題

名称・愛称について

「それがどのような施設であるか」を想起しやすいネーミングが重要だと考えています。また、愛称については、それが必ずしも人々に浸透するとは限らないということも考慮しているところです。

たしかに、東京ドームは愛称の「ビッグエッグ」と呼ばれることは稀ですし、近所では明石海峡大橋の愛称「パールブリッジ」も耳にしなくなりました。

劇場とコンベンション施設の一体的な利用は、どの程度想定しているのか。

年に数回程度を想定しています。

企画を考える際には施設が併設されている特徴に囚われすぎるのではなく、個別の施設としての性能にも目を向けて考える必要がありそうです。必ずしも一体利用しなければならないわけではありません。

パンフレットによれば劇場施設について「本格的」と表現されているが、日本舞踊の舞台として最適化されていない劇場(特に大ホール)を「本格的」と表現するのはいかがなものか。

大ホールは、どちらかといえばオーケストラなどの音楽に重点を置いて作られたもので、その意味で「本格的」と表現しました。しかし、ご指摘のように表現の正確さについては今後も吟味する必要があると考えます。

時間も空間も予算も限りはありますので、施設の機能については妥協が必要でしょう。ただし、何を持って「本格的」と表現するかについては、意見が分かれるようです。

屋上緑化の活用はどういうものか。

立ち入りは不可ですが、展望デッキからの眺望を楽しむことができます。

屋内展示場は柱がない空間なので、屋上の耐荷重は大きいとは言えないようです。「デッキからの眺望」「新幹線からの見た目」以外にも意義があると良いのですが、「展示場の空調効果」などについても調査してみたいと思います。

隣接する病院(施設完成の翌年に完成予定)との一体的な整備計画は?

二階デッキを延伸し、病院までつなげる予定です。

計画当初にあったアイデアが復活したようです。隣の県立病院側との交渉が進んだのでしょうか。

仮称・キャスティ21公園(旧仮称・1号公園)について、施設との一体利用ができるのか。また、公園での音楽イベントなどは可能か。

施設と一体で利用できるよう、管理も一体で行うことになりました。劇場やコンベンションホールのイベントと連動させた企画(装飾や告知による雰囲気作りなど)を公園で行うことは可能です。しかし、「公園だけ」を利用したイベントはできません。また、公園施設であるため、独占的な利用については制度上難しい部分があります。。

小さな森のようなデザインから、ずいぶん都会的な公園に計画が変わった印象です。森については、当会議でも鳥糞被害の恐れや「暗くなりすぎるのではないか」という懸念・指摘がありました。

施設周辺の再開発についてはどのような計画か。

民間の力を借りながら、雰囲気作りを進めていきたいと考えています。

「もっと積極的にブティックやカフェを設置すべきだ」との声が強くあがりました。同時に「それらは行政に作らせるものではなく、民間で行うべきではないか(劇場周辺にビジネスチャンスがあると思えば、民間が店を勝手に作るだろう)」という声もあがりました。



運営に関する話題

日本における新施設の位置づけ、または新施設の「売り」はなにか。

劇場施設としては国内でも大規模であり、また文化コンベンション複合施設としては全国的にも少ない施設です。また、新幹線の停車駅からの距離が近いというところも、売り出して行きたいと考えています。

これは当会議の委員会でも話題に上がることです。新幹線「のぞみ」停車駅であることの優位性は、姫路に住んでいる私たちが想像している以上かもしれません。

「文化政策の拠点」という標榜について、具体的な政策や戦略はあるのか。

現在可動している姫路市文化センター(手柄)と比べれば、立地も収容人数も随分と良くなります。今後、市内外の人々にとっての新たな交流拠点となることを期待しています。

単純な駅からの距離や収容人数では、間違いなく良くなるでしょう。ただし「姫路/播磨にとっての画期的な文化の拠点だという割に、目玉となるべき使い方(文化政策)が打ち出せていないのではないか」「(指定管理者の話題を受けて)人任せ感が否めないのではないか」という指摘は妥当かもしれません。工業都市から音楽都市に生まれ変わろうとしている川崎市を例に「姫路市自体がどういう街にしたいのかがよく見えない」という指摘もあがりました。当会議でも、市民の側から行政に「こういう使い方はどうか?」と提案して参りたいと考えています。

既存の文化施設とのスケジュール調整などは行うのか。

貸館については、他の施設(市民会館、キャスパホール、パルナソスホールなど)と比べて1〜2ヶ月早く予約を受け付ける予定です。これによって、抽選になり外れてしまった場合に、他の施設に会場を変更して公演を行うことが可能になります。(他の施設の予約/抽選に参加できます)

これまでは市内の施設のほとんどが同時に予約を受け付けたので、あるホールの抽選にハズレた場合には他のホールでも公演を行うことができませんでした。プランBを事前に想定できるので、企画する側にとっては非常にありがたい制度だと思います。

公演情報などの発信を強化することはできないだろうか。

広報については、広報を担当する部署にも頑張ってもらうつもりです。

先般リニューアルした観光コンベンションビューローのWEBサイト「ひめのみち」を拡充するか合併する形で、姫路市内外の文化や観光の情報を一手に発信するようなことができればよいのですが…



施設管理に関する話題

指定管理者に移譲する権限の幅と、そのリスクについてはどう考えているか。

姫路市、公益財団法人 姫路市文化国際交流財団、公益社団法人 姫路観光コンベンションビューロー、指定管理者の四者で協力しあって運営します。特に大型の文化事業やMICE誘致について指定管理者の手腕に期待するところです。そのため、施設の特徴を活かすことができる指定管理者(となる民間企業)を選定していくことが大切であると考えています。

当会議でも、複数の民間企業(大手・地元)と行政・外郭団体などで合弁会社のようなものを作ることや、そこに市民の意見を反映させやすい仕組みづくり(作業部会の設置)についての提案が挙げられています。

施設利用の窓口や施設内に設置されるカフェなどは誰が担当するのか。

指定管理者が担当します。(カフェは、指定管理者に誘致/委託していただくことを検討しています)

指定管理の任用期間は何年か。

施設竣工から5年を想定しています。

他の施設に比べても長めの任用期間のようで、一安心しました。文化事業のような中・長期的な計画を必要とする仕事では、頻繁に管理者が変わることは好ましくありません。ただし、長すぎると不必要な癒着・利権が発生することもあるので注意が必要です。

施設の老朽化やメンテナンスについてはどういう考えか。

施設の性格を考慮すれば、早めのメンテナンス・機材の入れ替えが行われるべきだと考えています。一定額以上の補修等については、費用を姫路市が負担することになっています。



講座後のディスカッションで上がった提案・意見など

施設のあり方について

子供が親しみやすい環境を作ることが、市民が親しみやすい環境を作ることになるのではないか。(もっと子供向けの要素を取り入れてはどうか)

(上記の意見を受けて) 親しみやすさも重要だが、劇場施設は「ヨソイキ」感を失ってほしくない。

ホールだけでなく公園まで拡大した施設利用には夢を感じる。

宗教や政治に関わる公演の想定はどの程度行っているのだろう。

公演後の余韻を楽しむ仕組みができていない。賑わいの連続性が必要である。

(上記の意見を受けて) 賑わいを創出するのは立地的に難しいので成り立たないのではないか。



施設の運営について

施設の活用にあたって、役所内の部署を統廃合することも考えるべきではないか。

市民の声を反映する仕組みは、どのように作られるだろうか。



企画の公募について

当会議では、市民の意見をダイレクトに反映させる仕組みが必要であると考えています。文化コンベンションに関する作業部会の設置なども提案していきたいところですが、そのためにも「市民が有益な意見を持っている」ことを示す必要があるのではないでしょうか。

そこで「私たち市民がそこでやりたい事」を具体的にまとめて行政に提出することを計画しています。

企画・アイデアの公募を軸に「寄せられた提案の権利帰属をどうするか…」などの諸問題を調整中ですが、企画提案のフォーマットを公開するつもりです。(現在、兵庫県立大学の学生の皆さんにご協力いただきながら書式のブラッシュアップを行っています)

正式に公開次第、お知らせいたしますので、暫くお待ちください。

出席者(敬称略)
大前 晋 (姫路市 都市拠点整備本部 文化コンベンション施設整備室:室長)
西本 英史 (姫路市 都市拠点整備本部 文化コンベンション施設整備室)
太田 尚孝 (兵庫県立大学 環境人間学部:准教授)
井関 崇博 (兵庫県立大学 環境人間学部:准教授)

立花 江津子 今里 朱美 芳賀 一也
篠原 加奈恵 立花 晃 高巣 恵 花柳 沐香 芦田 檀 上田 成昭 伊勢田 駿佑 宮本 紗弓 橋本 英司 月ヶ瀨 悠次郎
ほか
記録
橋本 英司
文責
月ヶ瀬 悠次郎

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