ひめじ芸術文化創造会議 のWEBサイト

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ひめじ芸術文化創造会議

公開日時 : 2017年11月30日

2017年11月22日[水] 19:30より、姫路城下町ギルドにて開催されました。「コンベンション施設の在り方と市民・2」と題して、姫路・播磨が描くべき未来ビジョンとはどのようなものであるべきか…と言う視点からさまざまな意見交換を行いました。

「ひめじ芸術文化創造会議」の進め方について

座談会のスタイルについて

途中参加がしやすいように参加者の意見を付箋に書き込み模造紙に貼るスタイルについての提案がありました。街づくり会議らしい「楽しそうな雰囲気」を作るためには有効な手段ですが、この座談会では採用を見送ることにしました。



「言葉の定義付け」について

この会議で用いられる幾つかの言葉について、ある程度ローカルな定義付けを行う必要について提案がありました。例えば「市民」という言葉がシチズンを指すのか、あるいはシビリアンを指すのか。姫路市に限定せず、播磨8市8町まで視野を拡げて考えるようになった現時点では、表現を改めるべきではないのか…など。

雑多な意見を取り上げる座談会形式のためにあやふやになってしまっているところですが、概念を定義付けすることは、これまでの座談会を総括する上でも情報整理に非常に有効です。



播磨広域での施設活用

連携中枢都市圏について

播磨の連携中枢都市圏(8市8町)で新施設を活用すると考えたとき、どのような問題点があるでしょうか。



(物理的・時間的・心理的な)距離

特に、姫路市から見て北東方面(国道372号線沿い)は、自動車以外の方法でのアクセスが悪いように見えます。近代史を振り返って考えれば、ここに(姫路〜京都を結ぶ)鉄道があっても良かったかもしれません。将来的には、自動運転のバスやトラムを走らせることで解決するでしょうか。

(3D地図を様々な方向から眺めながら)山をいくつも隔てていることから、心理的な距離があるようにも見えます。「行きは良くても、帰りのことを考えると…」という心理は想像しやすいところです。



住民の連携意識を醸成するために

防災などの側面では市町村間の連携が進んでいますが、住民の連携意識の醸成を促すためには、地域通貨や共通の(公共サービスに使われる)カードを発行することが有効ではないか、という提案が上がりました。



施設の呼称について

前回に引き続き、播磨全体のアイデンティティに合致する(姫路市が独占しないようなニュアンスの)ネーミングについて、「施設や播磨の目指す方向性を具体的に想起できるようなネーミングが良いのではないか」など、いくつかの議論がありました。

一方、(例えば「ふれあい」のような)実質的に意味のない名前・愛称を冠している施設の失敗率の高さについても提言がありました。<参考図書)パオロ・マッツァリーニ(2004)『反社会学講座』>



神戸文化ホールの三宮移転について

神戸文化ホールが三宮駅前に移転されるというニュースがありました。新しい神戸文化ホールは、大ホールと中・小ホールが、それぞれ距離を隔てたところに、かつ規模を少し縮小して建設されるそうです。

姫路市は駅前の賑わいエリアを拡大する方向に向かっているところですが、一方の神戸は三宮駅前への超コンパクトシティ化を目指しているのかもしれません。

この神戸市の動きが、姫路の新施設や私たちにとってどのような影響があるでしょう。「神戸ですら2000席規模の劇場を手放したのだから、姫路では持て余すに違いない」と考えるべきでしょうか。それとも、「競合する劇場施設が1つ減ったので、新施設にとっては有利な状況ができる」と考えるべきでしょうか。



利用者目線の話題

施設利用者・利用方法に関する想定について

コンベンション施設の側面から見れば、企業プロモーションの場としての施設利用について、常識の範囲で対応できるかもしれません。一方、芸術施設として考えた場合、講演会・演劇・演奏会など、「一般的に想像できる」施設利用に限定してしまうことは危険です。なぜなら、(前衛的な)芸術の分野では、しばしば常識から逸脱した哲学に基づいて施設が利用されるからです。



観光客へのアプローチについて

不便さをPRする

「おしい県、広島」のように、美点ではないところを推していく宣伝方法もあります。僻地にあるラーメン屋が賑わうように、姫路も不便さを売りに出してはどうか、という意見がありました。<参考図書)フランセスク・ムニョス(2013)『俗都市化−ありふれた景観、グローバルな場所』>



劇場から姫路城への動線づくり

姫路駅前の賑わい施設を東西に拡げているのは「回遊型の都市圏」を作ることが目的の一つです。ところが、現在の計画では、姫路駅から新施設に移動した観光客は、再び姫路駅方面に戻る以外にありません。劇場から斜めに(総社などを経由しながら)姫路城や繁華街方面に抜けられるような、観光客にとって歩きやすい道が必要なのではないでしょうか。



その他

播磨の近代史

「(幕末・明治維新以降の近代史の中で失われてしまった)播磨の豊かさやネットワークの再構築」というのは、新施設が掲げるべき理念・理想にふさわしいかもしれません。



次回

次回は、年内の総まとめとして過去11回分の座談会を振り返りつつ、来年以降の活動について話し合いをします。

文責
月ヶ瀬 悠次郎

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