ひめじ芸術文化創造会議 のWEBサイト

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第4回座談会・記録ノート(後半)

公開日時 : 2017年08月30日

2017年08月09日[水] 19:30より、姫路城下町ギルドにて開催されました。公益財団法人 姫路市文化国際交流財団の貞廣 始(さだひろ はじめ)副理事長にお越しいただいて、財団が現在行っている文化事業の成果や問題点などを教えていただきつつ、将来の市民と連携した文化振興の在り方について自由なディスカッションを行いました。

貞廣副理事長のお話

財団の概要

所在地は、姫路市文化センター内。5億5千万円強の資本金(主に姫路市とイオン株式会社からの出資)を持ち、姫路市民の文化芸術活動の支援を行っています。

来年が創立30周年にあたるので、記念の行事を計画中です。

財団の仕事は、主に「文化振興事業」「施設管理業務」「美術工芸館学芸普及事業」「国際交流事業」に分かれています。



文化振興事業の現状

最近の主催事業の動員状況を見渡すと、市民の関心が高く売れ行きのよいものと、まだまだ頑張らなければならないものが見えてきます。



■ 姫路市文化センター

例えば、先日のブリュッセルフィルハーモニー管弦楽団のクラシックコンサートは大ホールの1/2程度…約850人の来場でした。そうすると、2000席の新施設の大ホールを満席にするためには、市民の中からクラシックファンに足を運んでいただくだけでは、なかなか難しい…ということがわかります。

一方、佐渡裕オペラ「フィガロの結婚」は大変人気で、平日にも関わらず早くから予約がいっぱいになりました。しかし、駐車場の入り口の狭さ(キャパシティは十分でしたが…)が災いして、開演時間までに客席に入れないお客様が60名ほど出てしまいました。

松竹大歌舞伎の公演は、その年によって動員がマチマチです。

姫路落語会は毎回、発売と同時に完売するほど人気です。現在は小ホールで公演を行っていますが、大ホールでやってもそれなりに埋まるのではないかというほど。(ただ、故・桂米朝さんの「地声の届く範囲で…」というご意向もあるので、現在は小ホールで行っています)

名画鑑賞会については、市内の映画館との兼ね合いもあるため、古いものを中心に35mmフィルムを使用して上映しています。



■ キャスパホール

狂言や「洋楽ヒットパレード」シリーズなどは固定ファンがいるらしく、観劇の帰りに次回のチケットを購入して帰られる方が多いようです。また、「和楽器オーケストラ」や「夏井いつき俳句ライブ」チケットの発売後まもなく完売するほど好評でしたが、「キャスパ能」については残席が多少ありました。



■ アウトリーチ

小学校などに出張して、子ども達に演奏を聞かせたり小型パイプオルガンに触れたりしてもらうなどの、アウトリーチ活動を行っています。

また、文化センターでは消防や自衛隊と連携して「避難訓練コンサート」なども行っています。



■ その他

上記のような主催事業に特典が付く「友の会」制度を設けています。

また、市民の文化活動に対して助成金を出したり、総合文化雑誌「BanCul」や「文化情報姫路」のような文化情報誌を発行したりしています。

(「もっと効果的な告知・宣伝ができないものだろうか」との参加者からの意見に対して)スタッフが不足しがちなため、正直なところ情報誌も現状の枠の中で定期発行を行うだけで手一杯な状況です。



美術工芸館学芸普及事業の現状

書写の里・美術工芸館にて、美術工芸品の展示会やワークショップなどを行っています。

当初は「都心部からのアクセスが悪いのではないか」とのご批判も多かったですが、今ではそれなりに人気のスポットとなっています。



国際交流事業の現状

イーグレひめじを拠点に、地域ぐるみの国際交流事業を推進するために、外国人受け入れ体制の整備や在住外国人の交流などの事業を実施しています。

姉妹都市との中学・高校生同士の交流を深めるべく、模擬店や日本語講座などを行ったりもしていますが、こちらもスタッフが少ないため十分に展開できていないところが多くあります。



施設管理業務の現状

現在、姫路市文化センター、キャスパホール、パルナソスホールの管理を行っています。

4年後に文化センターが閉館するにあたって、財団の仕事の内、施設管理業務の占める割合は減少していく見込みです。



これからの文化振興の在り方

施設管理業務の減少を見越して、これまで以上に文化振興事業やその他の業務に力を入れ、市民と連携しながら次世代に文化を継承発展させていきたいと考えています。

そのために、まずは人手不足と人材不足を解決すべく、主に人件費について市に要望を伝えているところです。年間予算1億6000万円というのは事業費のことであって、その中には人件費を含めた固定費が含まれていないのです。

また、優秀な芸術監督やプロデューサーの存在も必要になってくるでしょうから、そういう人材選びと交渉も並行して進めているところです。

今後も、このような機会をできるだけ多く設けていきたいと考えています。



ディスカッション

財団への要望

財団の「友の会」の制度には問題があるのではないだろうか。

例えば、会費が安すぎることや、チケットの予約受付に極端に会員が優遇されていることなど…。友の会が極端に優遇されてしまうと公益財団法人の「公益」に疑問を感じる。



行政が把握できていない情報…とくに利用者の統計を取ってほしい。

稼働率などの情報はあるが、公演ごとに「席が何割埋まったか」という情報があると、より「どういうジャンルが売れているのか」ということを判断しやすくなると思う。



広報をもっとちゃんとしてほしい

窓口にチラシを取りに行かなければならないのも煩雑だし、窓口のチラシの並びも新旧混在している。新着情報がわかるようにするなど、情報の獲得と取捨選択をやりやすいようにしてほしい。

WEBやSNSでの告知も不十分。せめてチラシの画像くらいはシェアしやすいように掲載しておいてほしい。

(副理事長)予算不足・人手不足で、十分に広報ができていない実態があります。何億円も使ってテレビCMを行えるわけではありませんし、割り当てられるプロパー(正規職員)は3〜4人程度というのが、実態です。また、チラシ画像の掲載については権利(著作権や肖像権?)の関連で、難しい場合があります。しかし、今後は強化していかねばならないところです。

私たち市民の側の広告に対する意識も低い。画質の低い写真をつかった素人作成のチラシも多く、これでは「お金を取って公演を行う」というプロ意識を持ったプロの演者が育たない。演者にプロ意識を持たせるような活動もこの会議でできないだろうか。



広報をどうやるべきか

WEB告知

観光コンベンションビューローのWEBサイト「ひめのみち」がこの春にリニューアルされたが、未だに「春休みの姫路城混雑状況」がトップページに掲載されている。これも人手不足が原因らしいが、こうなってしまったのでは意味がない。

「誰が伝えるのか(責任者)」「誰に伝えるのか(観光客/地元住民)」「どうやって伝えるのか(予算も含めて)」というのを具体的に考えておく必要があるのではないだろうか。

観光コンベンションビューローでは、作業部会(ワーキンググループ)が機能し始めているようだ。市民レベルの広報活動(情報系ブログ編集者など)から情報を素早く吸い上げて反映させる仕組みを作ろうとしている。これと同じことが、文化振興でも行えるはずだ。



口コミ

私たち姫路市民が、姫路の悪口を言うのが一番良くない。今度の施設についても、大阪や京都の人たちに「姫路で新しいのができるんだけど、最悪なんですよ〜」などと軽々しく発言してしまうと、そういうイメージが先行してしまいかねない。「姫路もいろいろ頑張ってるから、応援してくださいね」という言い方に変えていかないと。自戒も込めて。



市民の文化レベルを向上させるには

どこを重点的に進めるべきか

いま人気があるものを伸ばすだけではなく、次世代のために種をまく活動も必要。劇場の特化についても同じ。

どちらにしても、現状を正確に把握する必要があるので、ホールの利用状況を充席率も含めたデータを取ってもらいたい。(→行政・財団にお願いしたい。)

(副理事長)「バレエ人口は多そう。クラシックファンは600人前後かな…」



「音楽の街・ひめじ」について

他の市町村と比較して、特に音楽で盛り上がっているとは思えない。一体何を持って「音楽の街」を名乗っているのか。伝統的な土着の音楽をもっと推進するとか、プロが育つ環境を作るとか…

盛り上がっていないのは、その文化ジャンルの担い手(民間の文化団体)が次世代育成を疎かにしてきたことも素直に反省するべき。まず第一に文化振興に責任を負うべき文芸人が考えるべきことであって、行政や財団にばかり文化振興の責任を押し付けるのはお門違い。



文化を高めるための雰囲気作り

やはり市民が自分たちのことを「どうせ姫路はレベルが低い」と言うのがダメ。ときには厳しく指摘しあうことがあっても、根本には「一緒に街を良くしていこう」という共通の思いがなければ、何をやっても成功しない。



これからの文化振興の在り方

行政・財団・市民の間で交流や意志疎通が大切

行政は市民に耳を傾けることを恐れているフシがあるのではないか。拾い上げる意見に偏りがあってはいけないし、声の小さな意見を拾い上げる困難さもある。

少しずつ状況が改善しつつある。前半参加してくれた大前さん(姫路市役所 課長)のように、行政の側から「いただいたご質問について、直接みなさんに回答したいので、会議に参加して良いですか?」と足を運んでくれることもある。彼のような人が、行政の中で、私たちの声を代弁できるような環境づくりが大切。



行政の中、市民の中でも意思疎通が大切

行政には、できるだけ「タテワリ」が解消されるよう努力していただくとして…この創造会議では、市民のコンセンサスをまとめつつ行政・財団・市民の交流の場になれたら良いと思う。

民間の文化団体(ダンススクールや舞踊の会派など…)が、派閥やジャンルの壁で5〜20人程度の小規模のまま、まとまらないことも問題。東京や大阪のように、もともと母数が多いわけではないのだから、群雄割拠していても仕方がない。今は大きな力で牽引できる人…「彼の言うことならみんなが一応納得する」というような人が居ない以上、(特に今回の劇場施設のような大きな話に対応するためには)文化団体同士の連携がますます大切になってくる。



市民、特に文化芸能人の役割

行政や財団に「なんとかしろ」というのは、文化芸能人としては情けない。何をするかを考えて、実行するのが私たち(市民・文化芸能人)の役割で、行政や財団はそれをバックアップする立場ではないか?

今回、行政は「劇場を作る」ということはしてくれている。「どうせ作るなら良い劇場を作ってほしい」というのは当然の思いであるが、「そこで何をやるか」ということが(この会議も含めて)疎かになっているのではないか?

「与えられた条件の中で、デメリットをメリットに変えながら、一番格好いい物を作る」というのが本来の発想。1号公園もコンベンション施設との併設についても、それを活かした企画は考えられるはず。

記録
伊勢田 駿佑
文責
月ヶ瀬 悠次郎
資料
議事録