役員の活動/成果発表会『GUNDAM OPEN INNOVATION 2021-2025 ~GOI PROJECT REPORT~』

公開日時/2025年11月27日

役員の活動/成果発表会『GUNDAM OPEN INNOVATION 2021-2025 ~GOI PROJECT REPORT~』 - メインビジュアル

文:森千江子 森千江子

バンダイナムコグループのガンダムプロジェクトが推進するサステナブルプログラム「ガンダムオープンイノベーション(GOI)」による成果発表会『GUNDAM OPEN INNOVATION 2021-2025 ~GOI PROJECT REPORT~』が2025年11月18日(火)・19日(水)の2日間、東京・お台場の日本科学未来館で開催された。本プロジェクトには大和大学教授である立花晃幹事が携わっており、本稿は同会を訪れた森千江子幹事によるレポートである。

バンダイナムコグループのガンダムプロジェクトが推進するサステナブルプログラム「ガンダムオープンイノベーション(GOI)」による成果発表会『GUNDAM OPEN INNOVATION 2021-2025 ~GOI PROJECT REPORT~』が2025年11月18日(火)・19日(水)の2日間、東京・お台場の日本科学未来館で開催された。本プロジェクトには大和大学教授である立花晃幹事が携わっており、本稿は同会を訪れた森千江子幹事によるレポートである。

発表会が行われた日本科学未来館(東京都江東区)
発表会が行われた日本科学未来館(東京都江東区)

会場では、2023年に発足した4つの公認プロジェクトと、共創パートナー15チームによる研究成果が紹介されており、展示や体験、講演などを通じて「見て・聴いて・体験する」ことができる内容。各エリアは、未来の社会を見据えた技術やアイデアで構成されており、まさに“ガンダムの世界観を現実へと接続する試み"といえる。

大和大学の展示と天野健作教授(右)・立花晃教授(左)
大和大学の展示と天野健作教授(右)・立花晃教授(左)

当会幹事である大和大学社会学部教授・立花晃氏と同学部教授・天野健作氏は、GOIの共創パートナーとして参画している大和大学社会学部SDG研究推進室の活動を代表し登壇。両氏は『君は、生き延びることができるか? ―― スペースコロニー時代に向けた挑戦 ――』をテーマに講演を行い、研究の背景や取り組みを紹介した。また、3人目の登壇者としてびわこ学院大学の福田美紀准教授から実績報告が述べられた。


地球で起こる課題は宇宙でも起こる

宇宙デブリの除去体験をしている参加者
宇宙デブリの除去体験をしている参加者

講演の冒頭、天野教授は、『機動戦士ガンダム』にも描かれるスペースコロニーの構想を取り上げた。その代表的な一つであるオニール型コロニーは、巨大な円筒を回転させて人工重力をつくり出し、その内部に都市や森林、農地を備えた宇宙居住モデルとして知られ、人類が宇宙へ生活圏を広げる未来像を提示している。

同氏は現代社会で起きている人口増大や異常気象、他国間での水紛争問題の深刻さを述べた。スペースコロニーの場合、資源は地球以上に限られ、昼夜のサイクルまで人工的に作る必要があるため生活の仕組みも高度に管理される点を挙げ、持続可能な循環型社会を地球上で確立し宇宙世紀へ備える重要性を語った。


吹田市を実証フィールドに進む取り組み

発表を行う立花教授
発表を行う立花教授

次に立花教授より、「Suitable and Green Diver Cityに関する指標の開発とスペースコロニー時代に向けた社会実装実験」が解説された。

同実験は大阪府吹田市を舞台に、持続可能な生活モデルの検証・実証を「地上版スペースコロニー」という位置づけで学術的に行っている。学生が中心となり調査の過程で得られた多岐にわたる衣食住の社会課題をそれぞれ立案し、取引の公平性に配慮したコーヒー豆(フェアトレードの思想に根ざしたスペシャルティコーヒー)の提供、賞味期限が近いチョコレートの実売や、規格外で破棄されてしまう食材を用いた「すいたぶるらーめん」の開発と提供・吹田市役所内での実店舗運営などの経過が報告された。

またプロジェクトに関連する授業の一環として大阪・関西万博の公式キャラクターのネーミング公募に学生たちが応募し、その中で同大学社会学部の作田陽向さんらが考案した『ミャクミャク』という名称が採用されたことを挙げ、地域や社会に関わる学びが実際の社会実装につながった象徴的な事例となる。

続いて、SDG研究推進室の活動に長く関わり、現在はびわこ学院大学に籍を移しながらも同室の一員として連携を続けている福田准教授より、これまでの実績が示される。

同氏はまず野村不動産と共創して吹田市内に整備した「ハニカム広場」について説明し、地域における役割の検討から名称の考案まで、学生とともに主体的に携わった経緯を振り返った。

さらに、企業・自治体・地域団体など多様な主体とSDGs協定を締結し、活動内容を積極的に可視化するためメディア発信にも取り組んできたと報告した。

2023年以降、数々の団体から評価を受け多方面での受賞に言及。

最後に福田准教授は、「社会学は派手な成果物をつくる学問ではありませんが、すでに存在する資源や仕組みをどう社会に活かすのか、人にどのような影響や効果をもたらすのか、その積み重ねこそが社会に変化をもたらします」と述べ、地に足の着いた学術実践の在り方を重視する姿勢を示した。

講演終了後、立花教授・天野教授に追加取材を行い、プロジェクトの背景から、未来社会に関わる食の問題や今後の展望まで幅広く伺った。


今回のプロジェクトについて

天野教授社会学者として、私にできることは何かと考えました。すべての活動の根底には、人と人同士の関わりやつながりがあります。これは目に見える物ではないかもしれませんが、制度やルールを通して、人々の意識を少しずつ変えていく試みです。この地球で挑戦を続けていきたいと思います。

立花教授宇宙世紀の物語は壮大ですが、その本質を紐解けば、限られた環境下でどう生きるかという「まちづくり」の縮図と言えます。このプロジェクトで積み上げた地に足のついた活動の成果はさらに発展する可能性を秘めています。ここからまた新しいスタートを切った気持ちで進みたいと考えています。


食に関する将来的な懸念と可能性

天野教授今は身近に感じる食材であっても、資源量の低下や国際的な規制強化によって、将来的には一般家庭の食卓から姿を消す食材が増えるかもしれません。

立花教授一方で、代替タンパク質や人工肉といった“新しい食資源"を生み出す技術は急速に進化しています。その選択肢がどこまで社会に受け入れられ、持続可能性に寄与できるかが今後の鍵になります。


今後の展望

「賞味期限が近いチョコレート」「規格外食材を用いたラーメン」など、食領域の課題解決に積極的に取り組んできた同研究推進室は次なるテーマとして吹田市の特産品である『吹田くわい』を活用した新たな循環モデルも視野に入れているという。


未来を担う世代へのメッセージ

天野教授将来の日本では、現在よりもはるかに厳しい猛暑が頻発すると予想されています。40度前後の気温が日常的になる可能性も指摘されており、その変化にどう『適応』していくかが課題です。未来がどうなるかは誰にも分かりませんが、イマジネーションとクリエイティビティを自分の頭の中で描いてほしいと思います。

立花教授先人の経験に学び、より広い視野で未来へ踏み出してほしいです。いま社会に存在する“古いレジーム"には、私たち大人世代も当事者として関与してきた事実があります。失敗や困難を恐れず、その枠組みを乗り越え、新たな社会像を主体的に構想してください。


あとがき(森幹事)

「スペースコロニー時代」=実は“今をどう生きるか"を考えるためのメタファー。現実に差し迫っている課題に立ち向かい、いかに生き抜いていくか。これは遠い未来の夢物語ではないと受け取りました。

店頭に物が溢れ、自分の意思で選択できる現在の自由さは、決して当たり前ではない。資源が極限まで管理されるコロニー生活を想像した時、私たちが享受している「豊かさ」の正体が浮き彫りになりました。

そして地球の延長線上にある宇宙社会であっても、そこにあるのは変わらぬ「人間社会」なのだと思いました。テクノロジーがいかに進化しようとも、営みの本質は変わらないのだと、再認識する取材となりました。


出席者(敬称略)
立花晃
森千江子
記事協力
大和大学社会学部SDG研究推進室
当会管理外の著作権
大和大学社会学部SDG研究推進室

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