役員の活動/書籍『ウイグル詩史』

公開日時/2023年12月07日

役員の活動/書籍『ウイグル詩史』 - メインビジュアル

文:月ヶ瀬悠次郎 月ヶ瀬悠次郎

2023年12月8日、月ヶ瀬悠次郎代表が編集・組版を担当した書籍『ウイグル詩史』(著:萩田麗子)が集広舎より発売される。

2023年12月8日、月ヶ瀬悠次郎代表が編集・組版を担当した書籍『ウイグル詩史』(著:萩田麗子)が集広舎より発売される。

本書は、古代から現代にいたるウイグルの歴史のなかで生み出された数々の詩と作者、そして時代背景について解説したものである。

なお、装丁(カバーデザインなど)は玉川祐治(studio katati)氏。


書名
ウイグル詩史
著者
萩田麗子
発行
集広舎 〔WEBサイト
発売予定日
2023年12月8日
製本
あじろ並製/A5縦/362ページ
ISBN
978-4-86735-046-1 C0098
価格
2,727円(税込3,000円)

本書についての月ヶ瀬代表のコメント

チベットや南モンゴルと同様、「中国による弾圧で苦しむ人々」以外の文脈でウイグルの豊かな歴史や文化が語られることはとても大切なことです。

私たちは「ウイグルを守れ」と闇雲に叫ぶのではなく、まず「なぜウイグルを守るのか」「ウイグルの何を守るのか」という根拠や具体的な目的を自覚する必要があります。抽象的なスローガンに頼るのではなく、その歴史や文化に対する深い理解と共感をもって彼らと関わっていくことが本当の友好なのではないでしょうか。

「国名にBook(本)が入っているような国だ」というのは冗談ですが、歴史書としての『古事記』、『日本書紀』、『風土記』、そして現存する世界最古の小説とされる『源氏物語』や『竹取物語』、『宇津保物語』など、日本の歴史は常に書物とともにあります。また、「世界の学問を学びたければ日本語を学べ」と言われたほど、明治の初めにはたくさんの外国の書物が日本語に翻訳されました。それが、外国の知識を素早く取り入れ維新・開国後の短期間で西欧列強に匹敵する近代化を日本が遂げたことの重要な柱のひとつとなったのです。

もちろん翻訳の過程でいくらかの情報(風土感や匂いのようなもの)が失われてしまうことは否定できませんが、日本語という言語のカプセルが彼らの価値観や情熱の一部を後世に伝えるでしょう。『勅勒歌ちょくろくか』が(漢訳された約1500年前のウイグル詩)が現代の私達に古代ウイグルの息吹をもたらすように、本書がウイグルを知りたい人にとっての重要な手がかりとなることに疑いはありません。

「よそ様の大切な文化をお預かりする」という覚悟に裏付けされた翻訳や解説の書籍が日本で出版され、受け継がれていくことは、全人類に向けた重要な仕事です。その偉大な仕事に参加できたのは、とても光栄なことだと思います。


記事協力
集広舎
当会管理外の著作権
萩田麗子
集広舎

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この記事は特別な表記があるものを除いて クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。
表記があるものについては、それぞれの権利者にお問い合わせください。