実施レポート/公開勉強会&座談会『まもって、つかって 著作権』

公開日時 : 2022年12月03日

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文:月ヶ瀬悠次郎 月ヶ瀬悠次郎

2022年12月3日(土)、オンラインにて公開勉強会&座談会『まもって、つかって 著作権』を開催しました。勉強会の講師は大和大学社会学部准教授の立花晃氏(当会幹事)、著作権の基本的な考え方とクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを中心にコンテンツ・シェアリングについて学びました。

2022年12月3日(土)、オンラインにて公開勉強会&座談会『まもって、つかって 著作権』を開催しました。勉強会の講師は大和大学社会学部准教授の立花晃氏(当会幹事)、著作権の基本的な考え方とクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを中心にコンテンツ・シェアリングについて学びました。

勉強会の様子
勉強会の様子

10月の『インボイス制度』勉強会に引き続き2回目となる、オンラインでの一般参加者を受け入れた公開勉強会を行いました。アバターを使ったオンラインタレント活動をしている方や動画クリエイターを目指している方など、多種多様な参加者が気軽に話をできる場となりました。

好評につき、著作権勉強会の第二弾として『コミケや二次創作』を更に深堀りした勉強会の開催も計画しています。

なお、参加していただいた方には復習用に講習の記録映像(限定公開で約2ヶ月間)とレジュメをお渡しいたします。準備ができ次第、参加のお礼とともにご連絡申しあげますので、しばらくお待ちください。


参加者からのコメント

月ヶ瀬悠次郎代表

コロナ禍を一つの景気として、メタバースやオンラインでの創造的活動が広がっています。誰もが創造的な活動を行えるようになった素晴らしい時代であると思う一方で、著作権についての理解がないまま創造的活動を行うことは、交通規則を理解しないまま道路を歩くように危険なことだとも思います。

特に、個人的に触れ合う機会が増えた若い世代のクリエイター(∨ライバーやシンガー)の皆さんがより安全に、より効果的に、より高度な創造的活動を行えるように、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスのような新しい(そして世界標準になりつつある)仕組みに触れてもらいたいと常々思っていました。

今回の勉強会では、美術家であり社会学者でもある、実践と理論の両輪を備えた稀有な人材である立花晃幹事に講師を務めていただいて非常に有意義な時間になったと思います。また、参加者の皆さんが積極的に質問や感想を寄せてくださったことも大変うれしく思いました。

お忙しい中、ご参加いただいた皆様に感謝申しあげます。

立花晃幹事(講師/大和大学社会学部、ルカ・ステインドグラス株式会社)

今回の著作権とクリエイティブ・コモンズに関する勉強会を開催するにあたり、大きく二つのテーマを設けた。一つは著作権という制度・法律論をなるべくわかりやすい形で伝えること。もう一つは、デフォルトの著作権を一部開放することで、皆で共有できるコンテンツやデータをはじめとする知識資本を拡大することの有効性や意義について、クリエイティブ・コモンズ運動や、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスを用いた事例を紹介し、知ってもらうことである。

そしてそれらを通じて、特に駆け出しやセミプロレベルや、アマチュアであってもしっかりとマネジメントしたいと望む、専らデジタルコンテンツを用いるようなクリエイターの役に立出るような勉強会を目指した。

今回の勉強会には、芸文会議の会員のみならず、そのようなクリエイターも数名ご参加いただくことができ、事例などを通じて理解を深められたとの感想も寄せられたため、一定の意義、手ごたえを感じることができた。

ただ、このような勉強会の場合、とかく極めて細かいリーガルな話題や事例の判断に話題が集中することがままあるが、私自身は法律家ではないため、それらへのアドバイスは行うことができない。その代わり、それらを回避しつつ、クリエイティブ・コモンズが開く新たな地平について説明し、今後のそれぞれの活動に役立てていただくべく、なるべく多くの事例を扱った。

未だ開催そのものは未定ではあるが、次回の勉強会を開く機会あるのだあれば、今回いくつかの質問としても寄せられた、コミックマーケットの事例や、当日版権という日本特有の著作権の時限的な一部解除の仕組みなどを今回の内容を応用的に発展させて扱ってみたいと感じた。

AIによる絵画の自動生成や、3Dプリンタの普及など日進月歩で変化するアートシーンにあって、今回ご参加いただいた各クリエイターの皆様が、それぞれのフィールドで今回の勉強会でご紹介した内容を咀嚼し、有意義に役立てていただければ幸いである。

最後にこのような機会を与えていただいた芸文会議代表月ヶ瀬氏をはじめ、会員の皆様、参加者の皆様に御礼を申し上げて、手短ながら、勉強会の事後報告としたい。

芳賀由紀事務局長

難しい話でついていけないのでは? と心配していましたが、とても丁寧にわかりやすくお話ししていただき、受講して良かったです。

例えば〜で身近な例をいくつも挙げてもらったので、理解しやすかったです。ありがとうございました。

上田成昭幹事

写真を扱う仕事上、著作物を扱ってはいる中で人の手に渡って成果物になる過程の著作権はどう考えるべきかというのは疑問であったが、おおよその考え方を知ることができた。

記録写真や風景については著作物として認められにくいというのは驚いたが理由を聞くとそれはそうかと納得することができた。

実例として上がっていたように著作物を保護するためにあるものがCCを空間に付与することで見せ方や演出に使うこともできクリエイターの考え方次第で様々な表現方法が生まれる可能性を感じた。使用者はCC表記されたものを選んで使うことで情報の収集や「グレーなもの」ではないものが制作できトラブルを回避するためにも重要である。

2次創作は著作権者側もプロモーションに繋がるなら黙認する場合もあり、ファジーな状態になることもあるが使う側としては著作物を扱う意識は持たないといけないと感じた。次回の勉強会が楽しみである。

染井吉乃幹事

映画やドラマのエキストラ参加で、服や靴に禁止の注意事項がありますが、それも著作物の関係なんだなとか、色々と勉強になりました。

私自身も色々と表現に携わったり、発信している身ですので、著作物や著作権について、あらためて気を付けねばと思いました。

今回の事を踏まえ、さらに踏み込んだ内容の第二弾もぜひ開催していただきたいです。

森千江子幹事

これまで「著作権」と聞くと保護・利権・侵害など守りのイメージが刷り込みのように先に浮かんでいました。

鎖国とまでは言いませんが、日本と世界で著作権の捉え方に差があることも驚きました。勉強会を通して、縛り付けるものではなく、共有しさらにクリエイティブなものを生み出せる、無限の可能性があるものだという認識へ変わりました。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスは物理的に存在する作品、空間そのもの、そして膨大な数になっているデジタルコンテンツも網羅しており、常に進化するコンテンツや共有ツールにも順応性が高く、積極的に利用する方がリスク回避にも繋がると学べました。

自ら発信する場合においても意思表示として国際ルールが使えることは有益です。

このような勉強会に参加することは個々のブラッシュアップにも繋がります。大変貴重な機会となりました。

立花先生ありがとうございました。

前田麻結幹事

著作権について知っているつもりでしたが、改めて整理して学ぶことができ、良い機会となりました。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスという概念をあまりよく理解しておらず、どういった運動から始まり現在に至るか、また、ネットが普及し、時代の風潮的に私有から共有へ概念が移行する中では、非常に取り扱いやすい権利の表示方法であることがわかりました。

私も職業柄、様々な権利を扱う機会があります。

これから著作権に触れるにあたり知識取得の導入に、まさに相応しい講座だったと思います。

本日は、貴重な講義ありがとうございました。

PN・くろいち さん(∨ライバー)

著作権という法律自体は今の情報社会ではよく聞く権利ですし、なんとなく、"人が作ったものを許可なく使用してはいけない"みたいな程度では理解していました。

しかしこの勉強会で、どういったものが、どのように使用すると駄目なのか、どの場合使用できるのか等、著作権法への該当の有無を判断する知識を身につける事が出来たと感じました。

特にクリエイティブ・コモンズ・ライセンスについては、知っていると知らないで著作権法に違反するかどうかに直結するような知識を学べたのでとても有益な勉強会でした。

ありがとうございました。

PN・トマト さん(∨ライバー)

森美術館、初音ミクなどの例を聞き、二次創作の利用範囲の制限に段階があること勉強になりました。

今回の勉強会を通して、ルールの中で楽しくクリエイトしていくためにも著作権への理解が大切だと感じました。

お忙しい中、勉強会を開いてくださりありがとうございました。

参加者からの感想コメント、お待ちしています。


出席者(敬称略)
立花晃
月ヶ瀬悠次郎
芳賀由紀
染井吉乃
上田成昭
森千江子
加納悠以
前田麻結

会員・一般/6名

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この記事は特別な表記があるものを除いて クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。
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