令和2年7月の定例会議
2020年07月22日

文:月ヶ瀬悠次郎
2020年7月8日(水)、姫路城下町ギルドにて7月定例会議が開催されました。
2020年7月8日(水)、姫路城下町ギルドにて7月定例会議が開催されました。

前半は前回に引き続き《アーツカウンシル》《表現の自由》などについて社会問題も交えながら議論を行いました。また、後半は大阪を中心に活躍中の女優・実桜くらら氏をゲストに招きコロナ禍中の小中劇場の様子や姫路の新施設に対する期待などについてお話を伺い、意見交換を行いました。
アーツカウンシルについて
姫路市において《アーツカウンシル》を設置する意義と課題について、前回に引き続き議論が行われ、文化価値を高めること、および「芸術」の名を借りた単なる社会運動を阻止することについて、活発な意見交換がありました。
また、アーツカウンシルを構成する人材の選定方法や条件について議論が行われました。「専門バカ」と呼ばれる、極端に一分野に特化した人材ばかりを揃えても機能しないのではないか、と指摘がありました。関連して、大阪芸術大学に設置されている芸術計画学科を例に「演出・指揮などの統括者になるために、複数分野について十分な知見を学ぶことができる環境」の重要さが指摘されました。
表現の自由・著作権について
Black Lives Matter問題について
引き続き、本件について活発に意見交換が行われました。
昨今のSNSなどに見られる#BLMや#BlackLivesMatterのハッシュタグ運動について、《蘇民将来》伝説を例に上げて「同調圧力とスラクティヴィズムの現れ」と批判する意見が上がりました。また、「芸術・文化に属する方が社会問題と対峙する際には、できるだけ創造的な方法を取るべきである※1」との考えも参加者より披露されました。
※1 芸術・文化に属する人物が社会的な発言をすること自体は、非常に歓迎すべきことだと考えています。
川崎市ヘイトスピーチ禁止条例
日本国憲法に保障される「表現の自由」の観点から、川崎市の条例が違憲である可能性について議論がありました。「特定の人種・民俗・文化…を貶めることへの批判」に「日本・日本人」が含まれないことの問題や、正当な意見(ある種のアファーマティブ・アクションについて、過剰ではないかと疑義を投げかけることなど)をも封殺する恐れがあることが指摘されました。
一方で、アファーマティブ・アクションという概念自体については意義があることで意見は一致し、「正しい方法で用いられることが重要である」と結ばれました。
著作権と自由空間(アジール)
自由空間(アジール/アサイラム)という概念を元に、《コミックマーケット》のような限定された空間における著作権の限定的開放について議論がありました。
また、それを拡大して「『文化の日』前後の数日間のステージ利用に限定した、音楽著作権の限定的開放」の可能性についても意見が上がりました。
ハンコ文化とIT
著作権に関する柔軟な理解・態度という観点から、ハンコ文化についても「時代の要請に応じて使用される道具が変わることは必定である」との意見が上がりました。「電子決済ができる世の中で判子を強制することは、4G・5Gの時代にモールス信号による通信を強制されるのと同じ」との声も。
一方で、「美術品や道楽として残っていくのは良い」「手段の幅が広がったということで、古いものを直ちに捨てなければならないということでもない」との意見も上がりました。
その他
提案型共同事業
姫路市の今期の《提案型共同事業》について、残念ながら不採用となった旨、報告がありました。
外国人観光客に姫路(特に姫路城)の魅力を「誤解なく」伝えるための方法について、応用言語学的なアプローチから研究を行うものでした。
活動にかけられる予算は限定的になりますが、当会議が街に必要だと判断して自ら行う活動ですから、秋を目処に何らかの形で実施する予定です。
具体的な内容・詳細については、後日お知らせいたします。
その他
ゲストトーク
大阪を中心に活躍中の女優・実桜くらら氏をゲストに招き、コロナ禍中の小中劇場の様子や姫路の新施設に対する期待などについてお話を伺い、意見交換を行いました。
これについては、詳細を別の記事にてお伝えする予定です。

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