日本計画行政学会 第43回全国大会における立花副代表の研究発表の受賞のご報告

公開日時 : 2020年12月13日

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文:立花晃 立花晃

この度、11月27日(金)、28日(土)にオンライン開催にて行われました日本計画行政学会 第43回全国大会にて、立花晃副代表が下記2題の研究発表を行い、そのうち1題(発表①)が、「優秀発表賞」を受賞しました。2日間で全46発表中18ノミネートの中から選出された3発表の1つとしての受賞でした。


今年度の大会は本来、東京工業大学 大岡山キャンパスでの開催の予定でしたが、新型コロナウィルス感染拡大防止に関する大学側の対応ならびに、開催時期である11月末時点での状況の不確実性に鑑み、大会役員で検討が行われた結果、オンライン開催となりました。

今般のコロナ禍により、フィールドワークなどもままならず、対面での調査やヒアリングなども困難な中で、それぞれまとめ上げた研究成果を持ち寄り、全国から多くの研究者が参加しました。今回の全国大会は、初のオンラインによる開催にもかかわらず、闊達かつたつな議論が繰り広げられました。


今回、立花副代表は下記の二題を発表いたしました。受賞対象となった①の単著での研究報告は、かねてより本会議でも注目し、議論を重ねてきた「播磨連携中枢都市圏」に関する研究を深めたものがベースとなっています。

一昨年には、福岡大学で開催された第41会大会にて、連携中枢都市圏において、姫路市で21年秋にオープン予定の文化コンベンションホール「アクリエひめじ」(当時名称は未定)の、播磨圏域内での機能と役割、各市町の文化施設の昨日・役割分担とそのあり方について、本会会員(当時)の橋本英司氏を中心に、立花副代表と月ヶ瀨悠次郎代表と共に研究題目「連携中枢都市「姫路」における文化・産業複合施設のあり方について:Urban Planning in Himeji City with the New Municipal Complex of Theatre and Exhibition Centre」として同学会で発表を行いました。

今回の研究発表では、さらに播磨地域の地域創造性に関して、姫路市の市長公室の中に設置された地方創生推進室との協働で大規模な統計調査と地域創造性に関する計量指標を行い、その結果をまとめました。


また、②の立花副代表がセカンドオーサー(第2著者)として井関准教授との共著として発表したものについては、立花副代表の勤務するルカ・ステインドグラス(株)が主催する文化団体Entre-Nousと姫路市、姫路信用金庫からなる「播磨の物語と古典芸能の会」が二度にわたり開催し、立花副代表自身もスタッフとして参加した、ステインドグラスを用いた実験的な浄瑠璃公演について、その社会的意義と可能性について兵庫県立大学社会学研究室との協働でまとめたものです。

こちらの内容は、D・スロスビーの「アートの価値論」についてまとめた序論に、上記催しを事例として、「アートイベントの経営戦略論」として後半部分を加えまとめたものです。

本研究については、兵庫県立大学の紀要に投稿、査読を経て3月に掲載予定です。こちらの研究も、平素の会員、姫路市内の文化団体による活動を学術的にまとめた貴重な研究としてここに紹介いたします。


発表概要

発表① 『仮想的政令指定市としての連携中枢都市圏の地域創造性に関する比較考察〜播磨連携中枢都市圏を事例に〜:A Comparative Study on the Regional Creativity of Cooperation Central Urban Area as Virtual Government-designated City — Case Study of Cooperation Central Urban Area of Harima — 』

〔概要〕地域の人口減少、産業の衰退が進む現在、姫路市が連携中枢都市となって形成している「播磨圏域連携中枢都市圏」に端を発し、連携中枢市を中心として広域の行政自治体が連携する事により政令指定市並みに高次の都市機能や特化産業の集積・維持、地域の創造性の向上を目指す広域連携政策である「連携中枢都市圏構想」が推進されている。そこで本研究では、これまで創造都市論で言及されてきたクリエイティブ産業・ハイテク産業及び、創造的人材に着目し、『地域創造性開発指標』を用い、播磨連携中枢都市圏を仮想的政令指定市として捉えた場合の本地域及び連携中枢市としての姫路市の創造性に関して、政令指定市や中核市、各創造都市と比較し、その強みや弱み、特性等を明らかにする。


発表② 『アートイベントにおける共創戦略:Co-creation Strategy for Art-event』(兵庫県立大学環境人間学部井関崇博准教授との共著)

〔要旨〕近年、アートを地域づくりや企業経営に活用する取り組みが各所で行われている。その中ではアートの芸術的価値のみならず、人と人をつなぐという意味での社会的価値、また、所得を生み出すという意味での経済的価値に目が向けられる。しかし、アートの価値が消費・毀損されることなく、アートと社会が相互に発展していく関係を構築していくためには、アートの価値論をさらに深化させ、その価値を維持・創造していく方法論、いわばアートブランディングの方法論を構築していく必要があると考える。本研究では、アートの価値が変化していくシナリオを概念化するとともに、姫路在住のステインドグラス作家・立花江津子氏とその作品をめぐる動向を事例として、価値を維持・創造していくための知見を得る。


ここに、平素の立花副代表の研究活動の報告、及び本会内での議論の成果として、些少ながら報告させて頂きました。

これらは、今後の本会や姫路市の文化芸術・創造産業政策推進、策定課程の一端にも貢献できるものであると考えており、今後も本会ではかかるテーマに関する議論を深めて参りたいと考えております。


出席者(敬称略)
立花 晃

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